法定福利費を内訳明示した見積書について
労働者を直接雇用する専門工事業者は、労働者を適切な保険に加入させるために必要な法定福利費を確保する必要があります。
下請企業が、元請企業(直近上位の注文者)に対して提出する見積書について、法定福利費を内訳として明示した標準見積書を作成し、提出することが認められています。
標準見積書とは、社会保険等への加入原資となる法定福利費を適切に確保するために、各専門工事業団体が作成している見積書のことをいいます。
この標準見積書の下請業者から元請業者への提出は、平成25年9月末から一斉に開始されています。
また、下請企業に工事を発注する場合には、下請企業の法定福利費を含めて見積書を作成する必要があります。
ただし、見積書を作成する段階で下請企業に工事を発注するか決まっていない場合には、自社ですべて施工した場合にかかる法定福利費を計算し、外注した分は下請企業に支払うことになります。
Q.見積書の作成方法を知りたい場合には何をみればいいのか?
A. 各専門工事業団体では、業種ごとに法定福利費を内訳明示するための「標準見積書」を作成していますので、これらを活用し、法定福利費を内訳明示した見積書を作成しましょう。
また、国土交通省では、各下請業者が自ら負担しなければならない法定福利費の見積方法を解説した「法定福利費を内訳明示した見積書の作成手順」を作成し、ホームページに公表しております。
1.法定福利費とは?
法定福利費とは、法令に基づき、企業が義務的に負担しなければならない社会保険料のことをいいます。
社会保険とは、健康保険や厚生年金保険、雇用保険の保険料(労災保険は元請一括加入)のことを指します。
また、法定福利費分も消費税の対象となります。
2.「内訳明示」する法定福利費の範囲とは?
「内訳明示」する法定福利費の範囲とは、
- 介護保険料を含む健康保険料
- 子ども・子育て拠出金を含む厚生年金保険料
- 雇用保険料
が含まれ、そのうちの現場労働者や技能労働者の事業主(会社)負担分が対象になります。
保険料率は、下記のそれぞれの保険に応じて、適用する保険料率を調べることができます。
- 健康保険料 → 協会けんぽのWebサイトなど(個別に健康保険に加入している場合は、組合にお問い合わせ下さい。)
- 厚生年金保険料 → 日本年金機構のWebサイト
- 雇用保険料 → 厚生労働省のWebサイト
3.介護保険料の計算方法について
介護保険は、基本的に40歳から64歳までの方が対象者になります。
実際の現場労働者に占める40歳以上の割合を把握するのが困難な場合は、協会けんぽWebサイト掲載の割合(被保険者全体に占める40~64歳の者の割合)を用いる方法が考えられます。
4.健康保険や厚生年金保険が適用されない労働者の法定福利費の扱いは?
常用の労働者が5人未満の個人事業所は、健康保険や厚生年金保険の適用対象外となり、法定福利費は発生しないため、内訳明示する法定福利費から除外する必要があります。
ただし、見積段階で適用対象外となる作業員を把握することが難しい場合は、全ての作業員の加入を前提とした法定福利費を明示する必要があります。