建設業に関する工事の請負契約を締結する場合は、工事契約書や注文書・注文請書の作成が法律で義務付けられています。
また、契約は工事の着工前に締結しなければならず、契約書には建設業法で定める一定の事項を記載する必要があることなど、様々な取り決めが法令により定められており、建設工事を請負う建設業者であれば元請・下請に関わらず、法令を遵守しなければなりません。
建設業法では、契約を締結している元請・下請業者のどちらかが建設業法に違反した場合は、元請・下請業者のどちらも指導や罰則を受ける両罰規定が定められており、さらに元請業者には、下請業者に対して指導義務が課せられているので、元請業者は厳しい罰則を避けるためにも、必ず法令遵守しなければなりません。
現在では、パソコン等による契約書の作成、保存が認められており、用紙代金や収入印紙代の節約や、保存場所を確保する必要がなくなるなどのメリットがありますので、積極的に利用することをお勧めいたします。
パソコンのメール等の電磁的記録による請負契約を締結する場合は、基本契約を書面により取り交わし、受発注をメール等で行います。
この受発注記録のメールが注文書・注文請書と同等の意味合いになり、いつでも個別に印刷できるようにしておく必要があります。
工事契約書や注文書がなければ申請書は受理されない?
工事契約書や注文書は法律で作成が義務付けられていますが、作成していない場合に茨城県は、現時点ではありますが、請求書と発注証明書をセットで提出すればよいとされています。
発注証明書とは、発注者に対して発行した請求書と同じ金額、工事名、工期、工事の場所等を記載し、発注者(元請業者など)の記名押印をしてもらうことで、実際に工事が行われたことを証明する書類です。
今後、請求書を証明書類として提出することが認められなくなる可能性も考えられますし、工事契約書や注文書・請書を作成し、自社できちんと保存することで、新たに経営業務の管理責任者や専任技術者を追加する際等に、手続きの簡略化につながります。
また、工事契約書や注文書を作成することで元請・下請業者間のトラブル防止等になりますので、リスク管理の観点からも工事契約書や注文書は作成しましょう。