建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準について
公正取引委員会は、「建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準」を定めており、建設業における下請代金の支払遅延等に対する独占禁止法の適用については、この認定基準により処理されることとなっています。
建設業の下請取引において、元請負人が行なう次に掲げる行為は不公正な取引方法に該当するものとして取扱うものとされています。
- 下請負人からその請け負った建設工事が完了した旨の通知を受けたときに、正当な理由がないのに、当該通知を受けた日から起算して20日以内に、その完成を確認するための検査を完了しないこと。
- 前記1の検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出た場合に、下請契約において定められた工事完成の時期から20日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がなされているときを除き、正当な理由がないのに、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けないこと。
- 請負代金の出来形部分に対する支払または工事完成後における支払を受けたときに、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合および当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、正当な理由がないのに、当該支払を受けた日から起算して1月以内に支払わないこと。
- 特定建設業者が注文者となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設または業者は資本金額が1,000万円以上の法人であるものを除く。後記5においても同じ。)における下請代金を、正当な理由がないのに、前記2の申し出の日(特約がなされている場合は、その一定の日。)から起算して50日以内に支払わないこと。
- 特定建設業者が注文者となった下請契約に係る下請代金の支払につき、前記2の申し出の日から起算して50日以内に、一般の金融機関(預金または貯金の受入れおよび資金の融通を業とするものをいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付することによって、下請負人の利益を不当に害すること。
- 自己の取引上の地位を不当に利用して、注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする下請契約を締結すること。
- 下請契約の締結後、正当な理由がないのに下請代金の額を減ずること。
- 下請契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、注文した建設工事に使用する資材もしくは機械器具またはこれらの購入先を指定し、これらを下請負人に購入させることによって、その利益を害すること。
- 注文した建設工事に必要な資材を自己から購入させた場合に、正当な理由がないのに、当該資材を用いる建設工事に対する下請代金の支払期日より早い時期に、支払うべき下請代金の額から当該資材の対価の全部もしくは一部を控除し、または当該資材の対価の全部もしくは一部を支払わせることによって、下請負人の利益を不当に害すること。
- 元請負人が前記1~9までに掲げる行為をしている場合または行為をした場合に、下請負人がその事実を公正取引委員会、国土交通大臣、中小企業庁長官または都道府県知事に知らせたことを理由として、下請負人に対し、取引の量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。
認定基準において使用する用語の意義
- 「建設工事」とは、土木建築に関する工事で建設業法(昭和24年法律第 100 号)第2条第1項別表の上欄に掲げるものをいう。
- 「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
- 「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部または一部について締結させる請負契約をいう。
- 「元請負人」とは、下請契約における注文者である建設業者であつて、その取引上の地位が下請負人に対して優越しているものをいう。
- 「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。
- 「特定建設業者」とは、建設業法第3条第1項第二号に該当するものであつて、同項に規定する許可を受けた者をいう。