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建設業法令遵守ガイドライン⑩

2017/03/24


建設業法令遵守ガイドライン-元請負人と下請負人の関係に係る留意点-

9.支払保留

建設業法上違反となるおそれがある行為事例とは?

下請代金については、元請負人と下請負人の合意により交わされた下請契約に基づいて適正に支払われなければなりません。

建設業法第24条の3で、元請負人が注文者から請負代金の出来形部分に対する支払または工事完成後における支払を受けたときは、下請負人に対して、元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合および下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならないと定められています。

また、建設業法第24条の5では、元請負人が特定建設業者であり下請負人が一般建設業者(資本金額が 4,000 万円以上の法人であるものを除く。)である場合発注者から工事代金の支払があるか否かにかかわらず下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して50日以内で、かつ、できる限り短い期間内において期日を定めて下請代金を支払わなければならないと定められています。

そのため、特定建設業者の下請代金の支払期限については、注文者から出来高払いまたは竣工払を受けた日から1月を経過する日か、下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して50日以内で定めた支払期日のいずれか早い期日となります。


  1. 正当な理由がない長期支払保留は建設業法に違反
  2. 工事が完成し、元請負人の検査および引渡しが終了後正当な理由がないにもかかわらず長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないことは、建設業法第24条の3または同法第24条の5に違反します。

  3. 望ましくは下請代金をできるだけ早期に支払うこと
  4. 元請負人が特定建設業者か一般建設業者かを問わず、また、下請負人の資本金の額が4,000万円未満かを問わず元請負人は下請負人に対し下請代金の支払はできるだけ早い時期に行うことが望ましいとされています。

建設業法上違反となるおそれがある行為事例

建設業法上違反となるおそれがある行為とは、以下のようなものがあります。

  1. 下請契約に基づく工事目的物が完成し、元請負人の検査および元請負人への引渡し終了後元請負人が下請負人に対し、長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
  2. 建設工事の前工程である基礎工事や土工事、鉄筋工事等についてそれぞれの工事が完成し、元請負人の検査および引渡しを終了したが、元請負人が下請負人に対し、工事全体が終了(発注者への完成引渡しが終了)するまでの長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
  3. 工事全体が終了したにもかかわらず元請負人が他の工事現場まで保留金を持ち越した場合
  4. 元請負人が注文者から請負代金の出来形部分に対する支払を受けたにもかかわらず、下請負人に対して、元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合に相応する下請代金を、支払を受けた日から1月以内に支払わない場合

上記1~3のケースは、いずれも建設業法第24条の3および第24条の5に違反するおそれがあり、4のケースは同法第24条の3に違反するおそれがあります。

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