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建設業法令遵守ガイドライン⑨

2017/03/21


建設業法令遵守ガイドライン-元請負人と下請負人の関係に係る留意点-

8.工期

建設業法上違反となるおそれがある行為事例とは?

  1. 工期に変更が生じた場合には、当初契約と同様に変更契約を締結することが必要
  2. 建設工事の請負契約の当事者である元請負人および下請負人は、当初契約の締結に当たって適正な工期を設定すべきであり、また、元請負人は工程管理を適正に行うなど、できる限り工期に変更が生じないよう努めるべきであることはいうまでもないとされています。

    しかし、工事現場の状況により、やむを得ず工期を変更することが必要になる場合も多くあります。

    このような場合には、建設業法第19条第2項により、当初契約を締結した際と同様に変更の内容を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければならないこととなっています。

    工期の変更に関する変更契約の締結に際しても、他の変更契約の締結の際と同様に、元請負人は速やかに当該変更に係る工期や費用等について下請負人と十分に協議を行う必要があります。

    合理的な理由もなく元請負人の一方的な都合により下請負人の申し出に応じず必要な変更契約の締結を行わない場合には、建設業法第19条第2項に違反します。

  3. 下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず工期が変更になり、これに起因する下請工事の費用が増加した場合は、元請負人がその費用を負担することが必要
  4. 下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、例えば、元請負人の施工管理が十分に行われなかったため、下請工事の工期を短縮せざるを得ず、労働を集中的に配置した等の理由により下請工事の費用が増加した場合には、その増加した費用については元請負人が負担する必要があります。

  5. 元請負人が、工期変更に起因する費用増を下請負人に一方的に負担させることは建設業法に違反するおそれ
  6. 元請負人が下請負人に対して、自己の取引上の地位を利用して一方的に下請代金の額を決定し、その額で下請契約を締結させた場合や、下請負人の責めに帰すべき理由がない工期の変更による下請工事の費用の増加を元請負人の都合により、一方的に下請負人に負担させまたは赤伝処理を行った結果下請代金の額が「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあります。

    また、上記建設業法第19条第2項および第19条の3に違反しない場合であっても、工期の変更により元請負人が下請負人の利益を不当に害した場合には、その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実な行為に該当するおそれがあります。

建設業法上違反となるおそれがある行為事例

建設業法上違反となるおそれがある行為とは、以下のようなものがあります。

  1. 元請負人の施工管理が不十分であったなど、下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず下請工事の工程に遅れが生じ、その結果下請負人の工期を短縮せざるを得なくなった場合において、これに伴って発生した増加費用について下請負人との協議を行うことなく、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合
  2. 元請負人の施工管理が不十分であったなど、下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず下請工事の工期が不足し、完成期日に間に合わないおそれがあった場合において元請負人が下請負人との協議を行うことなく他の下請負人と下請契約を締結し、または元請負人自ら労働者を手配し、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合
  3. 元請負人の都合により、下請工事が一時中断され、工期を延長した場合において、その間も元請負人の指示により下請負人が重機等を現場に待機させ、または技術者等を確保していたにもかかわらずこれらに伴って発生した増加費用を一方的に下請負人に負担させた場合
  4. 元請負人の都合により、元請負人が発注者と締結した工期をそのまま下請負人との契約工期にも適用させこれに伴って発生した増加費用を一方的に下請負人に負担させた場合

上記1~4のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがあります。

また、1~3のケースで変更契約を行わない場合には、建設業法第19条第2項に違反します。

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