電気工事業の登録・通知について
すでに電気工事業を営んでいる業者様はご存知のことと思いますが、電気工事業を営もうとする法人及び個人は、電気工事業の登録、通知、または届け出をしなければなりません。
登録電気工事業の登録の有効期間は5年です。有効期間の満了後も引き続き電気工事業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければなりません。
電気工事業に係る手続きの窓口は、営業所の所在地ごとに異なりますので、お気軽にお問い合わせください。
1.電気工事業とは?
電気工事業とは、電気工事の施工を反復・継続して行う事業をいいます。
反復・継続して行う事業とは、他の者から依頼を受けた者が、自らその電気工事の全部または一部の施工を反復・継続して行う場合をいい、有償・無償を問いません。
したがって、試験的や一時的に電気工事を行う場合、例えば電気工事士の免状を有する者が、たまたま自宅の電気工事を行う場合は、電気工事業に該当しません。
ビル管理業者が、そのビル管理の必要上当該ビル内の電気工事を自ら反復・継続して行っている場合でも、電気工事業には該当しませんが、他の者から依頼を受けて電気工事を行う部分が含まれれば、電気工事業に該当します。
ただし、家電機器販売業者が、軽微な工事をやりながら電気工事をたまたま継続して1、2件施工するような場合は、電気工事業に該当します。
2.電気工事とは?
電気工事とは、一般用電気工作物または自家用電気工作物を設置し、または変更する工事をいいます。(法第2条第1項)
ただし、下記の電気工事士法施行令第1条に定める軽微な工事は除かれます。(電気工事士法第2条第3項)
- 電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器または電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードもしくはキャブタイヤケーブルを接続する工事。
- 電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)または電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。)をネジ止めする工事。
- 電圧600V以下で使用する電力量計もしくは電流制限器又はヒューズを取り付け
または取り外す工事。 - 電鈴、インターホン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事。
- 電線を支持する柱、腕木その他これに類する工作物を設置し、または変更する工事。
- 地中電線用の暗渠又は管を設置し、または変更する工事。
また、家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事も除かれます(法第2条第1項)。
電気機械器具とは、使用電圧200V未満の電気ストーブ、電気洗濯機などをいいます。
したがって、電気工事業の登録を受けていない家庭用電気機械器具販売者であっても、家庭用電気機械器具の販売に伴って、電気工事士がその作業に従事する場合であれば、その機器用のコンセントを設ける等の配線工事を局部的に行うことができます。
ただし、幹線に係る工事、分岐回路の増設工事、分岐回路に設置されている分岐過電流保護器の容量変更を伴う工事あるいは屋側配線または屋外配線に係る工事については、電気工事業の登録を受けなければ行うことができません。
3.電気工事業の登録要件とは?
電気工事業の登録の要件は下記のとおりです。
- 登録申請書及びその添付書類の重要な事項について、虚偽の記載がなく、重要な事実の記載が欠けていないこと。
- 一般用電気工作物に係る電気工事の業務を行う営業所ごとに、第一種電気工事士又は第二種電気工事士の交付を受けた後、電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する者であって、下記3のa.~d.に該当しない者を、主任電気工事士として置くこと。
- 次に掲げる事項に該当しないこと。
- この法律、電気工事士法第3条第1項、第2項もしくは第3項または電気用品安全法第28条第1項の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者。
- 法第28条第1項の規定により登録を取り消され、その処分のあった日から2年を経過しないもの。
- 登録電気工事業者であって法人である者が、法第28条第1項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあった日前30日以内にその登録電気工事業者の役員であった者で、その処分のあった日から2年を経過しない者。
- 法第28条第1項又は第2項の規定により事業の停止が命ぜられ、その停止の期間中に電気工事業を廃止した者であって、その停止の期間に相当する期間を経過しないもの。
- 法人であって、その役員のうちに上記a.~d.に該当する者があるもの。
4.電気工事業者の義務
- 電気工事士等でない者を電気工事の作業に従事させることの禁止
- 電気工事を請け負わせることの制限
- 電気用品の使用の制限
- 器具の備付け
- 標識の掲示
- 登録番号
- 届出・通知先
- 登録・通知の年月日
- 氏名又は名称
- 代表者の氏名
- 営業所の名称
- 電気工事の種類
- 主任電気工事士等の氏名
- 帳簿の備付け等
- 注文者の氏名又は名称及び住所
- 電気工事の種類及び施工場所
- 施工年月日
- 主任電気工事士等及び作業者の氏名
- 配線図
- 検査結果
電気工事業者は、その業務に関し、第1種電気工事士でない者を自家用電気工作物に係る電気工事(以下「自家用電気工事」という。)の作業(特殊電気工事を除く。)に従事させてはならない。(認定電気工事従事者は自家用電気工事のうち簡易電気工事の作業に従事させることができる。)
また、電気工事業者はその業務に関し、特種電気工事資格者でない者を当該特殊電気工事の作業に従事させてはならない。
電気工事業者は、その請け負った電気工事を、当該電気工事に係る電気工事業を営む電気工事業者でない者に請け負わせてはならない。
電気工事業者は、電気用品安全法第10条第1項の表示が付されている電気用品でなければ、これを電気工事に使用してはならない。
電気工事業者は、その営業所ごとに、絶縁抵抗計その他の経済産業省令で定める器具を備えなければならない。
○ 経済産業省令で定める器具
自家用電気工作物に係る電気工事の業務を行う営業所
「絶縁抵抗計」、「接地抵抗計」、「抵抗及び交流電圧を測定することができる回路計」、「低圧検電器」、「高圧検電器」、「継電器試験装置」並びに「絶縁耐力試験装置」(継電器試験装置及び絶縁耐力試験装置にあっては、必要な時に使用し得る措置が講じられているものを含む。)
一般用工作物に係る電気工事のみの業務を行う営業所
「絶縁抵抗計」、「接地抵抗計」、「抵抗及び交流電圧を測定することができる回路計」
電気工事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その営業所及び電気工事の施工場所ごとに、その見やすい場所に氏名または名称、登録番号その他の経済産業省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
※ 業者の区分ごとに異なります。
電気工事業者は、その営業所ごとに帳簿を備え、電気工事ごとに下記の事項を記載し、これを5年間保存しなければならない。
5.電気工事業者の区分と届出期限
- 登録電気工事業者
- 通知電気工事業者
- みなし登録電気工事業者
- みなし通知電気工事業者
一般用電気工作物に係る電気工事のみ、または一般用電気工作物およびび自家用電気工作物に係る電気工事に係る電気工事業を営む者
一つの都道府県の区域内に営業所を有することとなった日から30日以内に申請しなければなりません。
自家用電気工作物に係る電気工事のみに係る電気工事業を営もうとする者。
事業を開始しようとする日の10日前までにその旨を通知しなければなりません。
建設業許可を受けた建設業者であって、一般用電気工作物に係る電気工事のみ、または一般用電気工作物及び自家用電気工作物に係る電気工事に係る電気工事業を営む者
電気工事業を開始したときは、遅滞なくその旨の届け出をしなければなりません。
建設業許可を受けた建設業者であって、自家用電気工作物に係る電気工事のみに係る電気工事業を営む者
電気工事業を開始したときは、遅滞なくその旨を通知しなければなりません。
6.自家用電気工作物とは?
自家用電気工作物とは、電気事業法第38条第4項に規定する自家用電気工作物をいいます。
電気事業法第38条第4項に規定する自家用電気工作物とは、電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいいます。
ただし、次に掲げるものを除きます。
- 発電所、変電所、最大電力500kW以上の需要設備
- 送電線路(発電所相互間、変電所相互間または発電所と送電所との間の電線路(専ら通信の用に供するものを除く。)及びこれに附属する開閉所その他の電気工作物をいう。)
- 保安通信設備
※ 需要設備とは、電気を使用するためにその使用の場所と同一の構内(発電所または変電所の構内を除く。)に設置する電気工作物の総合体をいう。
。
概括的にいえば、最大電力500kW未満の需要設備であり、中小ビル等の設備が該当します。
7.一般用電気工作物とは
一般用電気工作物とは、電気事業法第38条第1項に規定する一般用電気工作物をいいます(電気工事士法第2条第1項)。
電気事業法第38条第1項に規定する一般用電気工作物とは、次に掲げる電気工作物をいいます。
- 他の者から電圧600V以下の電圧で受電し、その受電の場所と同一の構内においてその受電に係る電気を使用するための電気工作物(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する小出力発電設備を含む。)であって、その受電の電線路以外の電線路により、その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの。
- 構内に設置する小出力発電設備(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する電気を使用するための電気工作物を含む。)であって、その発電に係る電気を600V以下の電圧で他の者がその構内において受電するための電線路以外の電線路により、その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの。
※ ただし、小出力発電設備以外の発電用の電気工作物と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)に設置するもの、または爆発性もしくは引火性のものが存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所であって、火薬類取締法第2条第1項に規定する火薬類(煙火を除く。)を製造する事業場、または鉱山保安規則が適用される鉱山のうち、同規則第6条第2項に規定する甲種炭坑又は同条第3項に規定する乙種炭坑であって別に告示するものを有するもの(同法規第48条第1項)に設置するものを除く。
概括的にいえば、一般家庭、商店等の屋内配線設備等がこれに該当します。
電気工事業の廃止について
電気工事業を廃止したときは、廃止届または廃止通知をしなければなりません。
- 登録電気工事業の廃止
- 通知電気工事業の廃止
- みなし登録電気工事業の廃止
- みなし通知電気工事業の廃止
廃止の日から30日以内に、電気工事業廃止届出書(様式12)に登録証を添えて届出をします。
廃止の日から30日以内に、電気工事業廃止通知書(様式14の5)により通知をします。
遅滞なく、電気工事業廃止届出書(様式20)により届出をします。
遅滞なく、電気工事業廃止通知書(様式23)により通知をします。