建築士事務所の登録とは?
次に該当する方は、事務所所在地の都道府県知事ごとに、建築士事務所の登録を受けなければなりません。
- 他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を行うことを業としようとする建築士の方
- 建築士を使用して、他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を行うことを業としようとする方
建築士の資格を持たない方でも、開設者として建築士事務所の登録をすることが可能です。
上記の設計等とは、以下の業務のことをいいます。
- 建築物の設計
- 建築物の工事監理
- 建築工事契約に関する事務
- 建築工事の指揮監督
- 建築物に関する調査または鑑定
- 建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理
また、建設業者が請負の一環として事実上の設計等を業として行う場合は、建設業の許可のほかに、建築士事務所の登録が必要です。
そして、無登録で報酬を得て設計等を業として行った場合は、懲役または罰金に処されます。
(建築士法第38条)
建築士事務所登録の有効期間は5年間です。引き続き業務を行おうとする場合は、期間満了日前30日までに更新の登録申請をしなければなりません。
(期間満了日の60日前に、登録申請先の建築士事務所協会からハガキで通知されます。)
建築士事務所登録の要件「管理責任者」
建築士事務所登録を行う場合は、事務所を管理する専任の建築士である「管理建築士」を配置することが必要です。
管理建築士となるには、建築士として3年以上の設計等の業務に従事した後、登録講習機関が行う管理建築士講習(法定講習)の課程を修了した建築士でなければなりません。
一級建築士事務所は専任の一級建築士、二級建築士事務所は専任の二級建築士、木造建築事務所は専任の木造建築士がそれぞれ管理することになっています。
専任とは、事務所に常勤し、専ら管理建築士の職務を行うことをいいます。つまり、雇用契約等により、事業主体と継続的な関係を有し、休業日等を除いて通常の勤務時間中は、その事務所に勤務していなければなりません。
管理建築士のいない建築士事務所は、登録要件を欠くので登録できません。
登録後に管理責任者が不在となった場合には、30日以内に廃業等の届出を提出しなければなりません。
原則として、次に該当する方は管理建築士になることができません。
- すでに他事務所で管理建築士になっている方
- 派遣労働者
- 他の法令により、専任が義務付けられている方
- 他の営業等について専任に近い状態にある方(他の会社で社員となっている等)
- 住所と事務所所在地が遠距離で、常勤不可能な方
建築士の名義借りまたは名義貸しは、法令で禁止されています。(建築士法第24条の2)
上記1~5および建築士法第24条の2に該当する事実がある場合は、開設者およびその建築士に対して、建築士事務所登録の取消や建築士免許の取消等の処分があります。
(建築士法第10条、第26条、第38条)
開設者の義務
建築士事務所の開設者には、建築士法で以下の義務が定められています。
- 設計等に関する報告書
開設者は、事業年度ごとに定められた事項を報告書にまとめ、提出しなければなりません。
- 再委託の制限
委託者の許諾を得た場合においても、委託を受けた設計または工事監理の業務を建築士事務所の開設者以外に再委託してはなりません。
また、階数が3以上、かつ、床面積の合計が1,000㎡以上の共同住宅で新築工事に係るものについては、委託者が許諾した場合であっても、他の建築士事務所の開設者に委託を受けた設計または工事監理の一括再委託(いわゆる丸投げ)が禁止されています。
- 帳簿および図書の保存
開設者は、業務に関する帳簿およびその建築士事務所に所属する建築士が作成した建築士でなければ設計できない設計図書等を、15年間保存しなければなりません。
- 標識の掲示
開設者は、建築士事務所において、公衆の見やすい場所に規定の標識を掲げなければなりません。
- 書類の閲覧
開設者は、当該事務所が行った業務実績や所属建築士の氏名および業務実績、その他法令で定められた書類、業務に関して生じた損害賠償金額を担保するため締結した保険契約の内容を記載した書類等を、建築士事務所に3年間備え置き、設計等を委託しようとする建築主等の求めに応じ、閲覧させなければなりません。
- 設計・工事監理契約の際の重要事項説明
開設者は、設計または工事監理の契約締結時に、法令の規定によりあらかじめ建築主に対し、管理建築士または所属建築士を介して、設計委託契約または工事監理委託契約の内容およびその履行に関する事項を記載した書面を交付して説明させなければなりません。
- 書面の交付
開設者は、建築主から設計または工事監理の委託を受けたときは、法令で定める事項を記載した書面を当該建築主に交付しなければなりません。
- 立ち入り検査協力の義務
正当な理由がなく拒むなどの行為をすると罰せられることがあります。