「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」とは?
「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」は、建設業における社会保険の加入について、元請企業および下請企業がそれぞれ負うべき役割と責任を明確にし、建設企業の取組の指針とするべきものとして策定されました。
元請企業の役割と責任とは?
社会保険については、行政や建設業者などの関係者を挙げて取り組むことが求められており、元請企業においても下請企業に対する指導等の取組を講じる必要があるとして、その役割と責任が明示されています。
- 下請企業について保険加入の確認・指導等
- 選定の候補となる建設企業について社会保険の加入状況を確認し、未加入である場合には、早期に加入手続を進めるよう指導する。
- 再下請負通知書の「健康保険等の加入状況」欄により下請企業が社会保険に加入していることを確認し、未加入の企業があれば指導する。
- 遅くとも平成29年度以降においては、社会保険の全部または一部に適用除外ではなく、未加入である建設企業を下請企業に選定しないとの取扱いとすべきである。
- 現場に入場する作業員について保険加入の確認・指導等
- 新規入場者の受け入れに際して、各作業員について作業員名簿の社会保険欄を確認し、未加入等が発覚した場合には、作業員名簿を作成した下請企業に対し、作業員を適切な保険に加入させるよう指導する。
- 遅くとも平成29年度以降においては、適切な保険への加入が確認できない作業員について、特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべきである。
- 法定福利費の適正な確保
- 見積時から法定福利費を必要経費として適正に確保する必要があり、法定福利費を内訳明示した見積書の提出について、下請企業に対する見積条件に明示するとともに、提出された見積書を尊重すること。
- 元請負人が、法定福利費相当額を一方的に削減したり、労務費そのものや他の費用で減額調整を行うなど、実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結することは厳に慎むべきである。
下請企業の役割と責任とは?
従業員の社会保険加入義務を負っているのは雇用主であるため、下請企業自らが積極的にその責任を果たすことが必要不可欠であるとして、役割と責任が明示されています。
- 雇用する労働者の適切な社会保険への加入
- 労働者である社員と請負関係にある者の二者を明確に区別した上で、労働者である社員についての保険加入手続を適切に行う。
- 労務関係経費の削減を意図して、雇用者を個人事業主として請負契約を結ぶことは、偽装請負として労働関係法令に抵触するおそれがあるので注意する。
- 元請企業が行う指導等への協力
- 元請企業の指導が建設工事の施工に携わる全ての下請企業に行き渡るよう、元請企業が行う指導に協力する。
- 法定福利費の適正な確保
- 自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り、法定福利費を内訳明示した見積書を注文者に提出するとともに、業務の一部を再下請負させる場合は、再下請負人の法定福利費を適正に確保する。