建設業における社会保険未加入対策について
建設産業では、行政などの関係者が一体となって、平成24年度から社会保険未加入問題への対策を進めています。
そして、中央建設業審議会による「建設産業における社会保険加入の徹底について 」(平成24年3月)において、関係者を挙げて社会保険未加入問題への対策を進めることで、
- 技能労働者の処遇の向上、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保
- 法定福利費を適正に負担する企業による公平で健全な競争環境の構築
を実現する必要があると提言しています。
これまでの主な取り組みとは?
- 行政・元請・下請が一体となった保険加入の推進
- 建設業関係団体等84団体、学識経験者、行政(国交省、厚労省)で構成。
- 実施後5年(H29年度)を目途に、企業単位では許可業者の加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入状況を目指すことを目標として共有する。
- 目標の達成に向け、それぞれの立場で社会保険未加入対策を推進することを申し合わせ。
- 行政によるチェック・指導
- 雇用保険、健康保険、厚生年金保険に未加入の場合の減点幅を拡大。
- 許可更新・経審・立入検査時に保険加入状況の確認・指導を行う。
- 立入検査時には、元請企業の下請企業への指導状況も確認する。
- 指導に従わず未加入の企業は保険担当部局に通報する。
- 公共工事における対策の実施
- 元請企業および一次下請企業を社会保険加入企業に限定する。
- 二次以下の下請企業についても未加入企業の通報・加入指導を実施する。
- 未加入業者の排除を図ることを、入札契約適正化法に基づき要請(H28.6)。
- 社会保険加入に係る建設企業の取組指針の制定・浸透
- 元請企業は、施工体制台帳・再下請通知書・作業員名簿等により下請企業や作業員の保険加入状況を確認・指導する。
- 平成29年度以降の取扱い
- 未加入企業を下請企業に選定しない。
- 適切な保険に未加入の作業員は特段の理由が無い限り現場入場を認めない。
- 法定福利費の確保
- 事業主負担分および本人負担分について、必要な法定福利費を予定価格に反映させる。
- 各専門工事業団体毎に法定福利費を内訳明示した「標準見積書」を作成し、下請企業から元請企業への提出を開始する。(H25.9~)
- 建設業許可部局の立入検査による見積書の活用を徹底する。(H28.6~)
- 相談体制の充実
- 各都道府県単位での相談窓口の設置や個別相談会の開催等、全国社会保険労務士会連合会との連携を強化(H28.7~)
○ 社会保険未加入対策推進協議会の設置 (H24.5~)
○ 経営事項審査における減点幅の拡大 (H24.7~)
○ 許可更新時等の確認・指導 (H24.11~)
○ 国土交通省直轄工事における対策の実施 (H26.8~段階的に実施)
○ 地方公共団体発注の工事における対策の実施
○ 下請指導ガイドラインの制定 (H24.11~)
○ 直轄工事の予定価格への反映 (H24.4~)
○ 法定福利費を内訳明示した見積書の活用
社会保険未加入問題に対する今後の取り組み
- 社会保険の加入に向けた対策の強化 (H29.4 以降)
- 保険加入について、元請企業の下請企業に対する指導責任の強化の検討
- 直轄工事における未加入企業の排除(二次下請以下の対策を検討)
- 建設業者等の企業情報検索システムにおける未加入業者の「見える化」
- 周知、啓発の徹底
- 小規模業者を対象とした研修会の開催、簡易版の「見積書の作成手順」の作成等により、見積書に関する周知・啓発を行う。
- 全国での説明会開催等を通じ、適切な保険加入等について周知の徹底を行う。