決算変更届を毎年度提出する必要性について
決算変更届とは、事業年度終了届などとも呼ばれ、建設業許可を取得した事業者は、毎年事業年度が終了した後4ヶ月以内に、管轄の土木事務所に提出しなければならない届出書のことをいいます。
建設業許可関連の業務のご依頼をいただいた際にお話を伺うと、建設業許可業者様のなかには、許可の更新と同時に5年分まとめて提出すればいいと考えていらっしゃる方がまだまだ多い印象を受けております。
仮に毎年度提出していない場合、許可の更新時期になったときに、5年分の決算報告書や工事の契約書などを揃えなければなりません。
また、5年分の届出書作成を行政書士に依頼した場合、5年分の報酬を支払わなければならないため、大きな出費になることも考えられます。
しかし、決算変更届は提出期限が決められていて、提出しなければ罰則規定のある、建設業許可業者様に課せられた義務となっています。
そもそも更新申請のみの場合、工事経歴書や決算報告書を提出する必要はありませんので、毎年度決算変更届を作成・提出していれば、更新時には揃える書類も作成する書類も少なくて済むのです。
その他にも、経営業務の管理責任者や専任技術者、役員や資本金の変更などがあり、各期限以内に変更届を提出する場合にも、決算変更届が未提出の年度があれば変更届を受理してもらえません。
このように、「知らなかった」「面倒だから」と後回しにしているといいことのない届出が決算変更届です。
建設業許可を取得することによって、金額の多い工事を受注できる権利を得る代わりに、決算変更届などの各種届出や、より厳しい法令遵守などの義務を負うことになりますので、わからないことや困ったことがあるときには、建設業に詳しい行政書士にご相談されることをお勧めいたします。
決算変更届の提出義務と罰則の根拠となる法律の条文について
決算変更届の提出義務は、建設業法第11条2項に記載されており、期限内に提出しなければ法令違反であり、建設業第50条1項2号には罰則も規程されています。
その根拠となる法律の条文は、以下のとおりです。
- 建設業法第11条2項
- 建設業法第50条1項2号
- 次の各号のいずれかに該当する者は、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。
- 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役および罰金を併科することができる。
許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第6条第1項第一号および第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後4ヶ月以内に、国土交通大臣または都道府県知事に提出しなければならない。
二号 第11条第1項から第4項までの規定による書類を提出せず、または虚偽の記載をしてこれを提出した者
つまり、事業年度終了後4ヶ月以内に、管轄の土木事務所に決算変更届を提出しなければ、6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金のどちらか、または懲役と罰金の両方が課されてしまうということです。
現時点では、必ずしも掲出が遅れたことにより罰則を受けるといったことはないかもしれませんが、始末書を提出しなければならない都道府県などもあり、今後は取り締まりが厳しくなる可能性も十分考えられますので、期限を守って決算変更届を提出しましょう。