「監理技術者制度運用マニュアル」改正の概要について
建設業許可を受けている建設業者が、元請・下請を問わず請負った建設工事の施工を行う際には、技術上の管理をつかさどる者として、配置技術者である主任技術者をすべての工事現場に配置しなければなりません。
また、一定の請負金額を超える建設工事を下請業者に施工させる場合には、監理具技術者を工事現場に配置しなければならないことや、一定の請負金額以上の工事を行う場合には、配置技術者はその工事現場の専任でなければならないなど、主任技術者・監理技術者を配置する場合には遵守しなければならない規則が定められています。
この技術者制度を適切に運用するために、「監理技術者制度運用マニュアル」が作成されており、いくつかの事項が改正されました。
平成28年6月22日に行われた基本問題小委員会の中間とりまとめにおいて、建設業を取り巻く情勢の変化等を踏まえ、元請の監理技術者等と下請の主任技術者について、施工体制においてそれぞれが担う役割を明確化する必要があること等が提言されました。
この提言を受けたことに加え、これまで行われた法令改正等を踏まえて、「監理技術者制度運用マニュアル」を改正し、監理技術者制度の適格な運用の徹底を図ることとされました。
今回の改正によって変更された事項とは?
- 元請の監理技術者等と下請の主任技術者の職務の明確化
- 元請の監理技術者等の職務(品質管理の場合)
- 請け負った建設工事全体に関する下請からの施工報告の確認、必要に応じた立ち会い確認、事後確認などの実地の確認。
- 下請の主任技術者の職務(品質管理の場合)
- 請け負った範囲の建設工事に関する立ち会い確認(原則)。
- 元請(上位下請)への施工報告。
- 大規模工事における監理技術者の補佐的な役割を担う技術者の配置の推奨
- 工場製品における適宜合理的な方法での品質管理の必要を明記
- これまでの法令改正、発出済みの通知等に伴う見直し
監理技術者等は、建設業法において、監理技術者・主任技術者の区別なく示されているが、元請の監理技術者等と下請の主任技術者の職務に大きく二分して整理、明確化されました。
大規模な工事現場等については、監理技術者に求める役割を一人の監理技術者が直接こなすことは困難であり、良好な施工を確保するためにも、監理技術者を補佐する他の技術者を同建設業者の中から配置することが望ましい旨が明記されました。
建設工事の目的物の一部を構成する工場製品の品質管理について、当該工場製品を工場へ注文した下請(または元請)やその上位の下請、元請の主任技術者等については、主要な工程の立ち会い確認や規格品および認定品に関する品質証明書類の確認など、適宜合理的な方法による品質管理を行うことが必要である旨が明記されました。
このように、法改正やマニュアルの改正は随時行われております。国土交通省のホームページ等で定期的に確認し、わからないことがあれば専門家にご相談することをお勧めします。